メンタルヘルス

引きこもり歴20年 うつ歴5年の私が「うつヌケ」をレビューする

うつ歴5年はうつ病の通院歴なので、実際は10年以上あります。みそじです。

「うつヌケ」がドラマ化されると聞いて、今まで読むべきか悩んでいたこの本を読んで見ようと決心しました。

うつに関する本は、読むまでが本当にエネルギーがいるんです。

 

・・・率直な感想は、すっごく面白かったです! もっと早く読んでおけばよかった。

だけど、うつ病患者向けか?と言われるとちょっと疑問かな・・・?

という感想を踏まえた上でレビューをどうぞ

17人のうつ患者の体験談を漫画化

「うつヌケ」は全20話の短編漫画

1話ごとに登場人物も症状も違う人のインタビューを、漫画でわかりやすく説明してくれるる、うつの体験談をまとめた書籍です。

うつに関する書籍はいくつか読みましたが、漫画としても面白いのはさすが本業の漫画家と感服しました。

うつ病と言っても様々な症状があるので、「この人には効くけどこの人は違う」みたいなことが沢山あります。複数の人から取材して漫画として書いてあるので、参考資料としても素晴らしい!

うつになると思考能力が著しく低下するので、活字が本当に読めないんです。漫画なら頭に入りやすいし、短編なので途中で休憩を挟みやすいのがすごくありがたいです。

うつは誰でも発症する病気である

「うつヌケ」の作者:田中圭一さんはサラリーマンも兼業しているので、職種が幅広く書かれています。

職種特有の悩みや、うつが抜けたと思ったら新しいうつが発生するなど、短編ながら波乱万丈の人生が17人分描かれています。

うつになる過程はみんな違いますが、うつヌケする人はみんな自分を認めてるんだなとちょっと涙が出てきました。

少し残念だなと思ったのが、元々能力があって成功している人がうつになる過程は描かれてるけど、うつになったせいで元々の能力もなく成功できなかった人の体験談がなかったことですね。

こればかりは作者:田中圭一さんのせいではなく、体験談を書いて欲しいという人がいなかったからでしょう。

・・・ここでちょっと心にダメージ

治療中のうつ患者に無理に見せるのはやめてほしい

うつというテーマの漫画としては本当におすすめできるんですが、治療中のうつ患者に「これオススメだよ!」というのは絶対やめたほうがいいです。

うつが「初期段階の人」「回復期に入っている人」「寛解している人」は問題ありません。

自発的に買えるのであれば、重度の部分は脱していると思います。

ですが、非うつの人が「ネットで評判だし、この本はうつ患者にオススメらしいよ!」と善意で勧めると拗れる可能性が高いです。

うつになってる状態は、他人の話は信用しないし、他人から勧められたらその時点でゴミだと思う傾向があります(私がそうだったので

自発的に買うまでそっとしておきましょう。

これは「カネコ」のための漫画

カネコって誰?と思いますが、作中の疑問役:担当編集者カネコさんです。

※「うつヌケ」1話の4pより

「カネコ」はうつに関しては無知で、うつの人の心がわかりません。それを「田中圭一」が解答していく形式になります。

うつ患者にとっては重大なことも、彼目線だと「そんなの誰でもあるじゃん」と突っ込み、作者が「それは違うよ!」とうつについて解説していきます

※「うつヌケ」1話の7pより

「カネコ」の発言は、うつ患者からすると「こいつ、うぜぇ」と思うでしょう。

ですが、大多数の人間は「カネコ」です。

こればかりは、患者になってみないと理解するのは難しいでしょう。

そういう人達こそ、この漫画を読んでみて「うつ」に関する見識を深めて欲しいです。

うつは誰にでもなる病気です。初期症状は実体験と漫画を比べてもよく似ていますし、兆候を知るのは大事ですよ!

「うつヌケ」を読んで嬉しかったこと

この漫画をみて安心したのが、うつが治ったと思っても、急に戻ることがあるのは当たり前だと理解できたことです。

作者の田中圭一さんは温度でうつスイッチが入るようですが、私は時間と天気で入るみたいです。学校の不登校歴が4年もあるので、朝はトラウマになってるのかもしれません

平日の朝日は本当にきついです。ただでさえ朝は潜在意識がでやすいからうつになりやすいのに・・・

だけど、原因がわかると気持ちがすごく楽になります。

うつ状態で一番きついと思ったことは、解決方法も原因も論理的に導けないことです。本当の原因がわからないと改善もできないし、望んだ結果だけが遠ざかっていく不安感は本当に酷いものでした。

見通しが立たない辛さを改善するための一歩として「うつヌケ」は素晴らしい漫画だと思います。

 

4話までは無料で読めるので、興味があればぜひ読んでみてください!

 

noteで全話購入すると1500円になるので、続きが読みたいのであれば定価が約1000円の書籍を買うことをオススメします。